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需要の多様化やサプライチェーンリスクへの対応が求められる中、複数の企業や工場が連携して生産を行う分散型の生産システムへの関心が高まっています。このようなシステムでは、需要や状況の変化に応じて生産を担う企業・工場を柔軟に組み替えることで、生産の効率化やレジリエンスの向上が期待できます。その実現には、複数の組織が互いに協調して生産スケジュールを立てることが欠かせません。しかし、従来のスケジューリング技術の多くは、必要な情報をすべて1か所に集約できることを前提としています。各組織が生産能力やコストといった機密情報を持ち、それらをそのまま共有できない分散型のシステムに対して、こうした技術を直接適用することは困難です。
このような環境で各組織の機密情報を守りながら全体の最適化を図るための有力なアプローチとして、分散最適化が挙げられます。分散最適化では、各組織が手元で計算を行い、必要最小限の情報のみをやり取りしながら全体の最適化を進めます。そのため、機密情報を開示することなく、システム全体として効率的なスケジュールを求めることができます。一方で、多くの分散最適化手法は、参加組織が定められた手順に忠実に従うことを暗黙の前提としています。この前提のもとでは、一部の組織が不正に手順から逸脱しても、それを検知できず、最適化自体も失敗するおそれがあります。
この課題に対し、私は分散最適化とブロックチェーン技術を組み合わせることで、参加組織の不正に強い協調型スケジューリングシステムの実現を目指しています。ブロックチェーンはネットワーク上の複数のノードが合意形成を行いながら同一の台帳を共有・管理する技術であり、特定の管理者に依存せずに信頼性の高い記録を保持できます。記録の改ざんが極めて困難であり、履歴を後から追跡・検証できることから、サプライチェーンや生産管理の分野でも応用が検討されています。本研究では、これらの性質を分散最適化アルゴリズムに取り入れることで、不正な行動を検知・抑止し、その影響を最小限に抑えられるスケジューリングシステムの構築を進めています。