耐故障性を持つ分散最適化アルゴリズムの構築

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近年、異なる企業・組織間の連携やロボット・AIエージェント同士の協調など、複数の主体 (エージェント) が互いに協力してシステム全体の目的を達成する技術に注目が集まっています。その代表的なアプローチの1つが分散最適化です。分散最適化では、各エージェントが自身の持つ情報をもとに他のエージェントと通信しながら計算を進め、システム全体の最適化を実現します。計算が複数のエージェントに分散して行われるため、すべての情報を1か所 (中央サーバなど) に集約する必要がありません。この性質から、分散最適化はプライバシーの保護やスケーラビリティの向上、中央サーバの故障によるシステム停止の回避といった観点で、幅広い応用が期待されています。

これまで、計算の効率化や動的な環境への対応などを目的として多くの分散最適化アルゴリズムが提案されてきましたが、その多くはすべてのエージェントが正常に動作することを前提としています。しかし実際の環境では、故障によって動作を停止したり、誤った挙動を示したりするエージェントが存在する可能性があります。さらに、サイバー攻撃などによって一部のエージェントが悪意のある行動を取る危険性もあります。既存のアルゴリズムの多くはこうした故障や攻撃への耐性を持たないため、最適化に失敗するおそれがあり、分散最適化を用いたシステムの信頼性を大きく損なう要因となっています。

そこで私は、故障や攻撃に対して耐性を持つ分散最適化アルゴリズムの研究に取り組んでいます。特に、分散制約最適化問題 (DCOP) と呼ばれる枠組みに着目し、故障や攻撃によって所定の動作から逸脱するエージェントが存在する場合でも最適化を実現できるアルゴリズムの開発と、その基礎となる理論の構築を進めています。